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第17話 緑衣の素王

Auteur: 日野智貴
last update Date de publication: 2026-10-19 05:27:17

 そのころ、総漢国図書寮――

 総漢国図書寮は、大王宮の外郭に近い官庁街の一角にあった。

 役所というより、寺院か学問所に近い雰囲気の建物である。白壁と黒い柱で造られた重厚な門の奥には、いくつもの蔵が並び、その蔵を結ぶ回廊には、朝の光が斜めに差し込んでいた。

 湿気を避けるためか、床は高く造られている。回廊の下には白い砂利が敷かれ、歩くたびに衣擦れと足音だけが静かに響いた。

 門の前には、警備の官人が二人立っている。

 そこへ、緑を基調とした煌びやかな着物を着た女性が、当然のような顔で歩いてきた。

「ここは身分のある者しか立ち入れない場所であって――」

 門番は一歩前へ出て、形式通りに制止しようとした。

 しかし、その女性――佐藤綾子は、眉一つ動かさない。

「あら?素王の身分だと不足だと言いたい訳?」

 門番の顔色が変わった。

 彼の視線が、綾子の後ろに控える杏麟と枝野利久へ向く。杏麟はにこやかに頷き、枝野は目を逸らした。要する

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